著作権とJASRAC

著作権非親告罪化についてなかなか熱い意見が多い。正直言ってどんなふうになるかわからないので何時ぞやのPSE法とか自転車の道路交通法のようなイメージなのだが、いつもヤリ玉に挙げられるJASRAC。一ついえるのは「もっと簡単に合法に著作物を使う方法がまったく提供されていない」ということだ。正直に言って今の法律でも取り締まろうと思えばいくらでも取り締まれるだろう。だが、今の著作権者、もしくは著作権管理団体は「CDを買え、本を買え、DVDを買え、個人以外では見るな。そのメディア以外では使うな、図書館は別」という感じである。音楽と同列の扱いで行けばマンガ喫茶なんかどうなるんだろうね。とにかく「大規模法人向けのどんぶり勘定」以外に「納得して支払う」方法がないのが問題なのだ。

たとえば、着うたとかiTuneのごとく「著作権ショップ」があり、「友人にリップしたMP3をコピーするなら100円(でDRM一世代が買える)」「デジタル放送の録画をBDにコピーする(でDRM+1)で50円」「学園祭でカバーバンドが歌う(一日一曲100円)」「バーで生演奏(一日一曲500円)」「歌詞を利用する(一曲100円)」「同人誌でキャラクターを登場させる+タイトルの利用(一作品500円)」「アレンジバージョンを作成して売る(一曲1000円)」といった感じだ。で、画面のバーコードをプリントして貼っておくか、同人誌の奥付けに貼り付ければ終わり。

で違反が発覚しても「即逮捕」ではなく「追納」で済ませる。要はお金なんだから。こういう法律は犯罪者を作るのが目的ではないはずだ。悪質なら追徴金、それでもダメならようやく警察が腰を上げる。これぐらいの段階を踏まないと、そもそも著作物のコピーって「損害を与える」ではなく「正当な対価がない」のが問題なのだから。もちろん著作物を貶めるような同人なんかであれば名誉毀損みたいなものもあるかもしれない。でも、司法とはそういうあいまいなものを判断するためにあるのだから。

今はwebマネーもあれば、検索システムもあり、100万曲をカバーするシステムが稼動しているような時代だ。AppleマイクロソフトができてJASRACができない。マンガに関してはあの出版社の状況を見ればとても出来るとは思えないが、それこそ麻生大臣が天下りしてマンガキャラクター管理法人でも作るべきだろう。

JASRACなんかは、Appleが「はい、これだけ売れたから請求してね」と音楽リストを渡されてあたふたしているような有様だ。「とりあえず2億5000万円仮払いで・・」ってレジに入れられた商品さえ数えられないところがカスラックなのだ。それこそappleに頭を下げて「今回の2億5000万チャラでいいから著作権ストア作るのに協力してください」とでも言わなきゃダメだろう。

払え払えというばかりで、じゃあ売ってというと「小売はしません」という感じだ。今のJASRACはせいぜい1次問屋の役割しか果たしておらず小売はできていない。小売ができているのはカラオケ業者と着歌、着メロ業者、アップルなどのオンラインストアぐらいなもの。

つまり、今求められているのは「著作権の小売ショップ」なのである。法律などいくらいじっても「問屋で業者レベルのまとめ買い」しかさえて貰えない状況では違反とわかっていても小さいところは無視するしかない。

で、もし実際そういうストアが稼動して、どんぶり法人もこれからは小売で買ってください、となるとどうなるか。テレビ局なんか1日に登場する番組の内容実に正確な利用状況が分かり、売れてもいない演歌歌手に莫大な著作権料が配分されることも無くなる。インディーズでもCDは売れないがカバー利用がメチャクチャ多いとか、マイナーなマンガでもキャラクターの2次利用は異常に多いとか、そういうことが把握できるようになる。

同人誌問題もしかりで、キャラクターを流用するだけで出版社と同額請求されるのはいくならんでもアンフェアだろう。「使うな!」「じゃあいくらなら売るんだ!」「丸ごと」「アホカ!」というのが本当のところ。