今のメイドさんってのは好きなマンガの実写版をおそるおそる見ているような感覚(嫌いじゃないが見たくない)
短くまとめるとそういうことかなあ。RC仲間と秋葉原で部品買っているときにメイドさんとすれ違ったので「メイドっていいの」と聞かれたのがきっかけ。彼は別にそういうのを毛嫌いする人ではないので「いや今のメイドはあんまり好きじゃないけど、メイドが嫌いというわけではない。話すと長いよ〜」「え、じゃ、じゃまた今度」ということで、短くまとめたのがタイトル。
オタク界で「メイド」というジャンルがある程度形成されたのは10年以上前?Windows95のころには(なんか年代をMSのOSで記憶しているな・・・)メイドさんしーしーとか誰か言ってたからその辺だと思う。Webがまだ駆け出しのころ、パソ通時代。セーラームーンが全盛期なので、セーラー服とか看護婦とかスッチーとか、そういう一部イメクラと被るなかでマンガオリジナルジャンルとして
「フリルいっぱいの女の子の服装の総まとめ、職業化」「フリルいっぱいの女の子は基本的に上流階級なので、それを下位に置くならば」みたいな感じで「エプロンドレスのメイド」というシンボルが出てきたのかなあ。
具体的なキャラクターとして完成してきたのは、やはり「まほろまてぃっく」が最右翼だろう。今でもメイドといえばまほろさんというのが古株のスタンダードだと思う。ちなみにマンガでのメイドでは「ご主人様と呼ばないで」というのが案外多い。「いってらっしゃいませ、ご主人様」>「ご主人様はやめてくれ、せめて名前で呼んでよ」とこっぱずかしい台詞から始まるのが多いのだ。そして「いってらっしゃい、**さん」というある意味”進んだ”関係、「結婚はしてないけど、年上女房タイプとの甘い同棲生活タイプ」が確立する。
その後、ToHeartのマルチ(メイドロボ、一回もメイド服なんて出てきてないけどメイドの在り方みたいなものをある程度固めた)、鋼鉄天使くるみ、ハンドメイドメイといった、「まほろさんに代表される年上女房タイプ」から「男としては恋人気分だけど女は完全服従、亭主関白(を立ててくれる年下女房との)甘い同棲生活タイプ」とう「超都合のいい女の子」スタイルが確立する。
ずばりメイドのタイトルを冠した「花右京メイド隊」では、そのあり方にちょっとだけくさびを打ち込む描画が見られる(完全に服従するマリエルの不気味さ)アニメ版1期ではちょっと逆手にとって「いつも笑顔の黒い田中理恵<琥珀さんタイプ」みたなのが出来上がった気がするが(笑)
その後、「月姫」の翡翠、琥珀(和風メイドなら割烹着?というジャンル)が続き、脱線するけど、月姫ってツンデレお嬢様、メイド、割烹着、女王姉(アルク)、先輩(シエル)って学園モノ以外でのヒロインに関してはまさに頂点を極めていた感じがするなあ。
で、こういったマンガチックなキャラクターに「正統派メイド」をぶつけてきた「エマ」あたりでマンガ的には最盛期かなあ。
で、コスプレメイドを逆手にとって(冷静に考えたらメイド服なんて色気もへったくれもない!)と徹底的に「イメクラメイド」ギャグとして構築した「これが私のご主人様」でΔピーク。
すべてはマンガにあり!ということで、メイドというキーワードからの連想は「恋愛を経ずにスタートする可愛い女の子との甘い同棲生活」であり、もしくは「服装記号としてのメイドの色気をギリギリまで追及した、これが私のご主人様的なイメージを楽しむ」に収束すると思う(若奥様の色気をギリギリまで追及した裸エプロンみたいなもの?裸だとなんだかわからないからね(笑)
というわけなので、「いってらっしゃいませご主人様」というだけのメイド服の女の子を見ても「原作をまったく理解していない出来の悪いマンガの実写版を見ている感覚(イヤじゃないけど見てられない)」というところに落ち着くのである。
しかし、10年を経て完結した「まほろまてぃっく」のラストは非常に示唆に富んでいる。「突然やってきた年上女房との甘い同棲生活」から、最後は「すべてを失った孤独な30男の死」での締めくくり。メイドブームを最初からピークまで駆け抜けたまほろまてぃくだからこそ書ける素晴らしいラスト。
追記:ちょうどいいタイミングでこんな記事が出ていた。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0705/03/news010.html
いや、もうね、根本的なところでつながってないと思った。