落ち目のプラズマにかける松下への応援

トラックバック先のearlybird氏の記事で「PDPなんてもうダメだよ。これに投資する松下ってバカ?」ということがいいたいようだが、それはあまりにも短絡近視眼的な考えだろう。たしかに短期的に見れば液晶の優位、欠点の改善は目覚しい。特に120fps化は、PC用動画では24fpsと30fpsの混在アニメでの動きズレ回避策として行われていたが、液晶のドライブ方法として「これはアリ」と思わせる革新だ。

しかし、これらはすべて「動画を見る」ことに情熱を傾けていないとピンとこないだろう。松下にしてみれば「PDPの欠点、液晶の優位性なんかお前なんかに言われなくても重々わかっとるわ!」とう所だと思う。それでもなぜPDPなのか(SEDもそうだが)、それは動画を見るのにはこちらが絶対にいいんだ!という情熱あってのことだろう。今はまだ、地デジでもSD画質のアプコンが幅を利かせており、本当のHD画像の魅力を知っている人は少数派。テロップだけ妙にきれいな画像見てれば「液晶って素晴らしい」と思うのは無理も無い。映画放送だってほとんどがSD画質だし、BDビデオはまだまだ出回ってないし、この状況で「なんでプラズマなん?」と思うのは至極当然ともいえる。

しかし、映画のHD画像がコンシューマに出回り始めるとちょっと状況が変わるだろう。今はごくごく一部の人だけが楽しんでいる状況だが、「日曜洋画劇場」までHDソースが流れるようになれば、そのとき初めてHDプラズマの意味がわかるはずだ。その時になってからあわててプラズマに投資したってもう遅い。

問題としては、多くの人がそれに気がついて欲してくれるかどうかだ。今は無理だ。それはもう経営判断というしかない。賭けだ。液晶の改良とプラズマの改良の競争、そしてソースが何時そろうか・・・その価値を多くの人が欲してくれるか、これは誰にも分からない。

だけど、「最高の映像を見たい」という情熱がどちらに感じられるか、といえばプラズマ陣営だ。ソニーが早々にそれを捨て、松下がやっているというのは今の状況を体現していると思わないかな。受け入れられるかはわからない。でもそういう事に掛けられる会社がいくつもある、という日本はやっぱり幸せだ。

液晶でも「美しい日本の液晶」とか言っておけば売れるよ、という雰囲気だったアクオスが、「安物テレビ(過去のシャープ扱い)」だったビクターの120fps化、EXEの先制パンチの強烈さは相当だったようで、HDなんのその、他社があっという間に追随したのは見ていて痛快だった。液晶のシャープが聞いて呆れるというほどのあわてぶり。

下記のVistaでもそうだが、経済アナリストの発言、分析からはいつも「情熱」みたいなのがスッポリぬけている。(あっても困るか)だが、今すぐ儲かるものだけ作ろうとしてうまくいったところなんかないのに・・・でも、ある意味こういうアナリストの発言に「うっせえ!そんなことわかっとるわ。だがオレはこれで行く」と思えれば突き進んでよし、「や、やっぱりそうかな・・・」なんて思うようなら引き返すべし、というのが正しいアナリストの使い方かもしれない。

最近は、トヨタ(ハイブリッド除く)、ニッサン、ホンダ(タイプR除く)から、それが感じられないのが気にかかる・・・
逆にヒュンダイのクーペやジェネシスには(出来はともかく)今まではまったくなかった「熱」みたいなのがあるんだがな・・・