ガンダム00の結末を勝手に改変してみる if その2(第二部 R2)

第二部

「パーーーン!」

乾いた銃声が砂漠に響く。

「命中!命中!フェルト!命中!」

力が抜けるマシンボイスを丸い物体が発している。彼女が狙い撃った弾丸は見事に500m先の標的を打ち抜いていた。砂っぽいゴーグルとフードを持ち上げると、良く日に焼けた顔と短く雑に切りそろえられた赤い髪が姿を現した。分厚いフードで体のラインが見えないので少年のようにも見える。

「ハロ、うるさい。それからフェルトって呼ばないで」

ぶっきらぼうに言葉を放ち、もう一度狙撃体制をとる。ソレスタルビーイング崩壊後、刹那Fセイエイと共にアザディスタン共和国皇女マリナ・イスナイールに匿われた彼女は、こうして黙々と狙撃訓練にいそしんでいた。もともと少ない口数はさらに少なくなり、刹那とマリナ、ハロ、あとはせいぜいシーリンの小言とちょっかいに対応するぐらいだ。狙撃の腕は見る見る上がり、いまや一流ともいえる狙撃主にまで成長していた。

ソレスタルビーイングの残党狩りは無くなったわけではないが、イオリアの死体が晒されたことで世界の殆どが「壊滅」を確信し、複数の太陽炉の爆発の確認、プトレマイオスガンダムの残骸などから残るメンバーも自爆の線でほぼ決着、世間的には「終わった事件」とされていたため、大規模な捜索の手は伸びてこなかった。ヴェーダのデータもセカンドによる影響か特にスタッフの捜索精度が上がった兆候もない。

「この暑さではこれ以上はやっても無駄だ、引き上げよう、ニーナ」

よく日に焼けた青年が声をかけた。髪が長い。小柄なので、フェルトとは逆に女性と間違えそうだ。

「刹那・・・」
「その名で呼ぶな。今はソラだ。」
「そうね。ごめん。戻りましょう」

刹那はソラ、フェルトはニーナという偽名を使っていた。フェルトはソラじゃ本名とあまり変わらないんじゃ・・・と思うが、これでもけっこう通用するものらしい。
王宮近くの宿舎に戻ると、シーリンが待っていた。二人は一応、マリナ仕えの王宮下働き兄妹という事になっている。

「いよいよ始まるわよ」

マリナのティータイムに呼ばれ、テレビを見る。

そこに映し出されていたのは、太陽光発電に加えて新たなエネルギー源として注目されているGNドライブ、「太陽炉」の建造のため木星に向かう大型プラント船「ジュピトリス7」だった。軌道エレベーターに接舷されたその船は、過去人類が建造した最大規模の宇宙船だ。ユニオン、AEU、人革連の国際共同プロジェクトであり、軌道エレベーターの存在が宇宙空間での建造を可能にした。それによって地球から飛び立つ必要のない大型船の建造が可能になったからだ。またソレスタルビーイング事件で得られた擬似GNドライブの存在も長期間の航行を可能にするということで建造を後押しした。ヴェーダから得られたデータを元にオリジナルと同じGNドライブを建造し、無限に近いエネルギー源を得たいという各国の総意が、あの事件から3年と言うハイスピードでの実現を達成したのだ。皮肉なことにこの3年、小さな小競り合いを除いては概ね平穏と呼べる時が流れていた。

「これで、軌道エレベーターを持たない国にもエネルギーの問題がなくなるのかしらね」

マリナが誰にともなく言った。

「GNドライブの建造には早くて50年かかると聞いています。すぐにどうなるものでもないでしょう」 とフェルト。
「あくまで未来への投資ね。それでも将来が明るいなら気前もよくなるというものですかね。最近はAEUもそれなりに支援してくれるわ」 とシーリン。


「まだイオリア・シュヘンベルクの意志は生きている。ナドレと共に」

と刹那がつぶやいたとき、事件は起きた・・・


〜OP〜


導入部だけで死にそう・・・あらすじは考えているけど、2クール26話分の分量なんてとても今週末の最終回までには書けそうにないですね。その3であらすじだけアップするかな。