この状況を嘆くのは突然降ってくる女の子とか幼なじみが多すぎてもてあましている平凡主人公のようだ。

海ノ藻屑
もうそろそろアニメで突然やってくる女の子とか、幼なじみとか、やめませんか?
http://d.hatena.ne.jp/tokigawa/20090105/p1
アキカン!」第一話を見てそう思いましたよ、ホント。なんなんだよ、この突然やってくる女の子と幼なじみの黄金パターンは。いつまでやり続けんだよ、マジで。もう、2009年だぞ。2030年とかになってもやり続ける気か。この設定をみんなそんなに求めているわけ? 僕は誰もそんなに求めているとはどうしても思えないんだけどな・・・。

基本的に同意。
ただ、僕も空から突然降ってくる女の子とか幼なじみとかが嫌いなんではない。おそらく「海ノ藻屑」氏も「年2〜3本ならOK」と言っていることから、それが嫌いというわけではないと思う。

ただ、そのパターンが象徴し、食傷気味になる理由は、それが「安易」「物語を作る気がないのか」「考えなし」「かわいい女の子さえでてくれば誰か買うだろう」という「粗製濫造感」を醸し出すからだ。

これはロボットアニメでもあった。一時期のロボットアニメでいえば「突然の来襲に、平凡な生活の主人公が巻き込まれ、特別仕様のロボットのパイロットになってしまう」というのがある。


でも、アニメーション作品というのはマンガや小説に比べれば圧倒的にコストがかかり、ハイリスクなビジネスだ。その中でチャレンジングな作品が本当に売れるかどうかなんて誰も保証できない。その中でどうしても「売れ筋」に行くのは仕方ないと思うし、その一方で視聴者のレベルを低く設定しすぎてない?という反発も生まれるだろうし、まあこの葛藤が解決されることなど永遠にないと思う。

ただ、粗製濫造でも「作ることが許されるうち」は、その中から何か生まれてくる可能性はあると思う。「ガンダム」だってワンパターンなロボットアニメの一つだったが「ロボットモノなら作ってもいいよ」という状況の中で「なんとかやってやる」という意志が「化けた」例の一つだと思う。逆に「売れ筋なんか気にしないで自由にやっていいよ」という中から良いものが出てくるというわけでもない。
また作る方でも、売れ筋ばかりじゃだめだ、と思ってチャレンジングな作品が出てくるかもしれない。

止まらない時間の流れの中で、一時だけ切り出して「よかった」「だめだった」というのは非常に無意味ではないかと思っている。「だめ」なものがあったから「よかった」ものが出てきたのかもしれないし、「よかった」ものがあったから、その後追いで「だめ」なものが出てくると言うこともある。

「アキカン」はコチラでは映らないので見ていないが、ひょっとしたらその後になにか影響を与える要素を含んでいるかもしれない。

自分に無限の時間があったなら、どんな作品でも全部見たいのだが、残念ながら取捨選択せざるを得ない。

ましてやテレビで無料で見て、記録メディアに残すことさえほとんどせず、DVDはよくてレンタル、マンガはほとんどマンガ喫茶か立ち読み、こんな状況で「無料or超廉価のモノさえ、全部見ることができない」という現代はもはやミラクルとしかいいようがない。

ビデオに残すとさえ叶わず、月1回のマンガ雑誌が出るのにも飢えていた20年前から見ればあまりにもおかしいと思う。

正直、こんな状況であれやこれや見てはおもしろいだのおもしろくないだの、僕も書き散らかしたりしているが、時々こんなことどうして許されているの?と思うこともままある(笑)

まるで次から次へと美少女が降ってきて、普通に考えればこの世の春なのにもてあまして困ってばかりいる、よくあるパターンの主人公のようではないか!

この状況が僕のせいだとは思わないが、できることと言えば、見たり読んだり、たまに買って楽しんだりする程度だ。楽しんでばっかりでありがとう、そしてごめんなさい、と、なんとなくよくわからない世の中の渦にでも謝ってみる。

「海ノ藻屑」氏のように憤ることができると言うことは、まだまだこの時代を楽しみたい!という意欲があるという裏返しであると思う。僕なんか「そろそろこの飽和時代おわらねえかな、もう楽しみきれないよ」と物騒なことを考えてしまうことさえある(自分が楽しむのをやめればいいだけの事なのに)それに比べればずいぶんマシな話だ。

そのうちしっぺ返しが来てマンガアニメ全滅、という時代が来るかもしれない。僕ができるのはそのときに誰も恨まないことを約束するぐらいだ。

あの「安直売れ筋メーカー」のあかほりさとる氏でさえ、「セイバーマリオネットR」では次から次へと降ってわいた美少女が一斉にいなくなるという話を書いた。

良いものだけがあふれている世の中、なんてものはきっとウソだろうし、きっとおもしろくはないだろうなと思う。


ただ、釣り堀の魚にえさをやり過ぎると、魚は釣れなくなります。