「グッバイ、ドン・グリーズ!」見た。
映画を見てやたらプッシュされる映画というものがある。
グッバイ、ドン・グリーズ!もその一つだった。
「宇宙よりも遠い場所」スタッフ作品とやたらプッシュされていたが、ハードル上げすぎて逆効果だったかもしれない。
結果的に、見どころは多いが、良いのか悪いのか後味が複雑な結果になってしまった。
「宇宙よりも遠い場所」は、南極という大冒険ではあるが、それなりに経験豊富な大人の庇護のもとチャンスを掴んで旅立つというストーリーであるので、冒険的にヒヤヒヤするのは東京へ行くシーンとシンガポールで無事4人だけで合流して乗船できるかぐらいかで、南極でヒヤヒヤすることはなかった。
※ヒヤヒヤしたければ、やはり「ロング・ウェイ・ノース」である。こちらは同じく女の子がおじいちゃんを探しに北極へ行く話であるが、船も木造だしベテランの船員たちだって命懸けの難易度が違う大スペクタルである。よりもい が名作と言っても「女子高生おじさんフォーマット」もので物足りない人はこちらを見よう。
それに対し、ドングリーズのヒヤヒヤは大したものである。
ちょっと近所の山道をそれただけで背筋が凍る大冒険になってしまう。そこにある意味のリアルさがある一方で、インテリジェンスは感じることが出来ず、ただ「なんで準備もなしにそんなことしてるんだ!」っていう心配ばかりがつのってしまう。この「なんでそんなことしてるんだ!」のカタルシスが最後まで起きないので、ストレスフルな映画になってしまっている。「よりもい」の緊張と弛緩のバランスがないと持たないのだ。
ロング・ウェイ・ノース は舞台的に緊張が続いても「仕方がない」という環境であるが、「ドングリーズ」は単なる無鉄砲になっていて、やめろやめろやめろっていう声を抑え込まないと楽しむ以前に心配が勝ってしまう。
地球外少年少女 はその点のバランスが良かった。まず宇宙ステーションであるからして「ゼロ・グラビティ」で慣れていれば緊張感も予習しているし、ところどころで「緊張」「弛緩」を繰り返すため、最後まで心配でドキドキで楽しむどころではないというのに陥らない。
「ドングリーズ」の転機は最後である。
そこまで我慢しないといけない。
ネタバレしてからのほうが安心して楽しめるのかもしれない。