図書館戦争

ちょっと眠いがそのぶんノイズ感がなくクリアな映像。ただ舞台が図書館だけにチラっと映る図書なんかのディテールが甘いのは残念。こういうところでHDが生きるのに。
内容?内容は文句アリアリだよう。なんというかね、もう設定が理解できない。理解できないというのは分からないという意味ではなくて、そもそも図書を巡って政府公認の武装組織と、図書館自前の武装組織が衝突するという対峙関係がありえない。剣と魔法のファンタジーよりありえない。そこに「現在の延長線上で想像できるリアリティー」を持ってこられてもものすごくチグハグ。

例:機動警察パトレイバー
ロボットテクノロジーの発達によって登場した汎用多足歩行型作業機械「レイバー(Labor)」は急速に発展・普及し、軍事・民生を問わずあらゆる分野で使用されるようになった。特に東京を含む首都圏では1995年に襲った東京南沖大地震の瓦礫の処分と、首都圏の土地不足の解消を兼ねた国家プロジェクト「バビロンプロジェクト」のためにレイバーは既にありふれた存在であった。だがその結果、レイバーによる事故はもちろん、レイバーを使用した様々な犯罪行為(酔っ払いの乱闘騒ぎや窃盗からテロ行為まで)が多発して社会問題となった。

この「レイバー犯罪」に対処するため、警視庁は警備部内の特機部隊にレイバーを導入し、その任にあたらせた。しかしそのパトレイバーは発足当初は旧式の作業用レイバーを装甲を強化しただけのもので、日進月歩でレイバーが性能を向上させている状況にあっては優秀な人材を集めた特機部隊もレイバー犯罪に対応し切れず、1998年、警視庁は警備部内に専門部署として新たに「特殊車両二課中隊」、通称「特車二課」を設けた。これがパトロールレイバー中隊 (パトレイバー) の誕生である。

コレは納得できる。たとえありえない未来だったとしても、そういうモノだとまず受け入れてから物語りは始まる。

で、問題はコレよ。

問題:図書館戦争
時は2019年、公序良俗を乱し人権侵害の表現を取り締まる「メディア良化法」が施行された現代。強権的かつ超法規的な「メディア良化委員会」とその実行組織『良化特務機関』の言論弾圧に唯一対抗できる存在、それが図書館だった。かくして図書館は武装し、良化機関との永きに渡る抗争に突入することになる。図書館の自由を守るために。

ちょっと待て。いくらなんでも実弾打ち合って殺しあう「良化特務機関」は政府組織で「図書館」が反政府ゲリラ?何そのお花畑設定?まだマリーランドからサンリオのぬいぐるみがやってきて事件を起こして勝手に解決するほうがマシよ。いくらなんでも飲めんわ〜成立しね〜。そもそも世界を手に出来る一冊の本「イエスのバイブル」とかをめぐってのお話ならともかく、本屋にフツーに売っている本を巡って殺すの殺されるのって、誰も本屋も図書館もよりつかないだろ。仮に「週刊サイゾー」が悪の本認定食らってオリコンから訴えられて強制処分とか発動したとしてその一冊に命かけられるか?そのために人殺せるか?

もしこの設定をなんとか納得させるとしたら

改変:図書館戦争
時は2019年、思想抑圧的な風潮が強まるなか、言論弾圧武装ゲリラ「メディア良化委員会」とその実行組織『良化特務機関』の暴力的言論弾圧に対し、国家警察および民間委託警察の対応は弱く、ひそかに良化特務機関は政府と通じているのではないかという疑いも強い時代、メディア側は民間対テロプロパイダー「LMS」に防衛および対策を依頼した。警察機構の一部民営化が実現して以来、こういった武装間組織が誕生した。実際にこの両者が激突した「日野図書館の悲劇」以来、この二つの衝突は「図書館戦争」と揶揄されるようになっていた・・・
これはLMSの「メディア警護チーム」にある過去の事件から憧れ、入社し、配属の夢を果したある少女のお話である。

ハァハァ、これぐらいでなんとか(言葉はマクロスFのパクリ。カッコいいやん)・・ほら、こうすれば「図書館戦争」がたちまち「砂の薔薇*1」になっちゃった(笑)砂の薔薇のCATにジャパニーズガールズミーツミドルを加えてそれハッピー。

お話の日常、主人公の気持ちとか組織の様子とかそういうのは非常に楽しめるんよ。前提だけ何とかしてくれれば。とりあえず勝手に前提を改変してから楽しむとします。

そういえば「R・O・D」も似たような話だなあ、なんであっちは許せるんだろ。まあRODに触発されて書いたようなビブリオマニアのお花畑設定なんだろうな、きっと。

*1:砂の薔薇=新谷かおるの対テロ民間組織のマンガ。http://ja.wikipedia.org/wiki/砂の薔薇