AIで仕事が奪われるって言うけど…

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/356347/030200007/
そういうことを言う人は多分自分の仕事は知的創造分野だから大丈夫、奪われると思ってないんじゃないかな。しかしそうかね?
逆にコンビニやスーパーでバイトしたならわかると思うけど、いちばん大変なのって「品出し」さあ、これをAI(ロボット)がやってくれるか…まあ、ないね。
多種多様なサイズ、外見、形状の商品を見分けて、これまたきっちりしてない棚に並べる…おそらく「単純労働」に思えるんだろうけど、ロボットやAIにとっての「単純」と人間にとっての「単純」ってぜんぜん違う。
Amazonがスゴイのはロボット化そのものよりも「ロボットに適した作業になるよう職場環境や倉庫から全部作りなおした(床は広いが上に高く積めるとか)」ことであって、それをやらずにAIやロボットが”仕事を奪ってくれる”なんてチャンチャラおかしい。そのAmazonですらロボットが集めてきた箱モジュールから該当品をピックして発送箱に積める「品出しw」は人間だからね。
むしろ、奪ってくれるとしたらPOSのデータや世間の流行から「発注リスト」を生成したり、バイトが入力した勤務表からシフトを割り振ったり、勤怠表を管理したりすること。過去数年分の売上や傾向、天気や季節の影響、SNSを分析して流行を見たりとか…つまり店長の仕事。人間は知的労働に集中できるなんてウソ。むしろ逆だ。こういう作業に関しては人間よりAIのほうが遥かに大量のボリュームを処理できるだろう。そっちはAIにまかせてせっせと掃除したり品出ししたりするのがミライの仕事になるんじゃないかなと思う。
人間に合わせて作られた什器や建築といったインフラを全部Aiやロボット向けに作り変えるとかでないかぎり。たぶんそこまで世界の余裕はない。超新興国とかでないかぎり。
自動運転もさかんにいわれるけど、自動運転がメインになったら信号も横断歩道もいらなくなる。あれ人間のためのものだしムダ。そういう想像が必要。
介護業界もそうじゃないかな。ロボットが介護してくれるんじゃなくて(補助はしてくれるだろうけど)AIが入居者の状態をモニタリングしてデータ蓄積して予測して「そろそろお漏らしする頃だからおむつ交換です」とか介護士に指示してくれて、ムダな「声掛け」とか「見回り」はいらなくなる…けどお世話は人間。「お体の具合はいかがですか?」とかだって、モニタリングと過去のデータの膨大な蓄積、他の大量の経験から得られた最適な返答。そういった心のケアとかがAIで(笑)、人間は下働きだよ。たぶんそっちのほうがはるかに現実的だと思う。
だから、AIが奪ってくれるのはむしろ人間がやりたい仕事なんだよ。単価の安い単純労働って実は(機械にとって)単純労働じゃないことが多い。OCRで全部片付くと思っていた文字読み取りですらまだの段階だ。パスワードの文字列推測とかAI得意だけどな。
裁判官とかAIにぴったりだよ。検察官の出世とか人間関係とかガン無視して冷静に過去の事例っと法律と証拠から判断してくれる。まあそうなったら検察がガンガン負けてしまうだろうから導入されないだろうけど。
まあ言いたいのは、アナリストが言う人間の単純労働と知的労働と、ロボットやAIが得意とするところの単純労働と知的労働ってのは案外重なっていないので、アナリストとやらが思っていることとはむしろ逆になるだろうってことだ。
囲碁にしても、画面上で打つんじゃなくて、ビシっと碁石を打ったり、取ったり、取った碁石を置いたり、かき混ぜたり、最後の並べまで全部こなせるようになってはじめて「人間の代替」足りうる。
それができる「カラダ」、考えた答えを現実世界に反映させられる「カラダ」を手に入れてやっとAIの時代となるが、それは案外遠くて、しかし、そのための「カラダ」を生産する方法を考えるようになり、細胞1個から単一の材料で生産可能な「生物」というボディは非常に生産性がよく、それは案外人間じゃないかもしれないし、人間のカタチをしていながら社会的に別のものとして扱われる「存在」となるだろう。全身がセンサーであり可動部でもある「生物」というボディを機械式メカニズムで置換するのは相当にこんなんだろうと思われるからだ。
そこまで到達した時、やっとAIは人間の敵となるのだろう。