新型プリウスはついにベルトレス

「2代目とは比較にならない」とまで言われる新型プリウス。初代>2代目でさえ別物といっていいほどの進化をしているのに、さらに劇的に進化したらしい。とはいえ動力以外の走る部分の骨格(フレーム)はNCVカローラ(2000年登場の新プラットフォーム)からそれほど変わっているわけではなく、電動部分の進化が著しいようだ。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20090121/164395/
コンプレッサに続き,ウォータポンプを電動化し,ベルトレスとなったエンジン

電動ウォーターポンプ自体はそれほど新しい技術ではないが、エアコンを含め「補機類なし、ベルト無し、電磁クラッチなし」はかなり衝撃的だ。電動パワステも入れて「常に予圧をかけておく」必要がほぼゼロになったといえる。そう言う意味では「必要なときに必要なエネルギーを使う」という、まさにトヨタの代名詞である「ジャストインタイム」のエネルギー版だろう。

特に、ウォーターポンプとエアコンは、エンジンの動作と相反する要素が多いのでこれらを切り離すというのは実に効果的に思える。

エンジンの動力を利用していた頃は、エンジンを冷やすのにエンジンの出力を上げないといけないウォーターポンプ。室内を冷やしたいのにエンジンの出力を上げないといけないコンプレッサ。ラジエターファンも昔はそうだった。こういう自己矛盾の解消だ。

基本的にオンとオフだけだったウォーターポンプが電動で細かく制御できるようになると、気温やエンジン温度やエアコン(暖房)などと連動していかにエンジン排熱を有効に使うか、ということが考えられるようになる。おそらく今回のプリウスは単なる電動化ではなく、そういうことをやっているのではないかと推測する。

プリウスというと、どうしても「電気で走る」というイメージが強いが、実際のところ「エンジンに走る以外の仕事をさせない」「走ってないときはみんなのために働け(充電しろ)」という、とことんガソリンのエネルギーを使い倒すというのが本来の姿であるように思う。

そして様々な廃棄エネルギーを電気という形で蓄積しておき、それをモーターで適時利用する。今回エンジンを大型化して、動力モーターが小型化(出力はUPしているらしいが、おそらく電流UPではないと思われる。コイルを小型化すればどうやっても電流値は減るからだ)したというのはまさにソレを示していると思う。

また、クルマ中にある「クラッチ(ブレーキ)」という摩擦伝達部品。プリウスはブレーキも含め、他のクルマより摩擦に頼る伝達が極端に少ない。摩擦よりは回転のほうが圧倒的に長寿命なのは明白だから実は消耗品が少ないクルマでもある。(まあ、モーター(ブラシレスのぞく)には「ブラシ」なる最低な摩擦部品があるが、ブラシの交換さえやりやすい構造であればコストは劇的に下がる)