電子書籍の圧倒的解像度不足

iPadで世界が変わる!電子出版の幕開けだ!
ってよく聞くけど。
正直、気が早すぎ。
もちろん、将来電子出版になっていくことは疑わない。デジタルカメラでプリント写真が激減したのと同じ道を歩むと思う。

だとしても!

iPadって1024×768だよ。Window3.1の時代じゃないんだから。
その前のPC9801だって、ハイレゾで80×30桁のテキストROM画面を出していたのに。

デジタルカメラが1024×768で3万円ぐらいになったのが、EPSONのCP100ぐらい。<100万画素ぐらい。
つまり、iPadデジタルカメラで言えば、まだQV-10の次、QV-100ぐらいだ。

どの辺からデジタルが銀塩を凌駕し始めたのかは定かでないけど、PowershotGシリーズが出て、Panasonicが参入した頃だと思う。<400万画素ぐらい。

iPadはまだ132dpi、しかし紙っぽい雰囲気が出てくるのは経験的に200dpiを超えてから。400dpiになれば、ほぼ紙を超えられる。

デジタルカメラは400万画素あたりが「ブレイクスルー」だったわけだ

僕は電子出版も同じで「200dpiがブレイクスルー」だと思う。偶然にもコレはデジタルカメラで言えば400万画素に近い。iPadはまだ130万画素レベルだ。

具体的なスペックで言うと、9インチ液晶なら2048×1536pxになれば変わる。
表示される符号的情報量は変化しないが、人間が認識する情報量がはっきりと変わる。
デジタルカメラの画像が印刷されても銀塩と区別が付かなくなり「ドット絵」を脱却したように。

残念ながらアルファベット文化圏はもう少し緩い。だからiPadはあのスペックが許されるのだ。


iPadを絶賛する人は「読めればそれは文字」だと思っている。
符号化情報論でいえば、文字として判別できればそれは同じ情報量なのだろうが、なにか「感じる」にはまだ情報量が圧倒的に足りない。人間が「もうこれ以上細かくなくてもいいや」というリミットブレイク。それを超えたときにデジタルはアナログを駆逐し始める。音楽だって映画だってテレビだって写真だってそうだった。紙だけが例外のはずがない。

4Kパネル、なんでそんなものがいるの?というは動画だからだ。静止画=印刷物の代わりをするならば4Kパネルは必須である。

モバイル4Kパネル。それを達成したときが本当のリミットブレイクだ。

だが流通とか出版社の姿勢とかそんな話ばっかり聞こえてきてうんざりだ。そんなビジネス的思惑なんぞ粉砕し、4Kパネルこそ人間に直感的に「デジタルでいいや」と思わせるはずなのだ。それを声高に主張する電子出版側の声がまったく聞こえてこないとは残念としか言いようがない。